セフレの美里には内緒だが、俺は出会い系で別の女性を探し中だ。
美里とも出会い系で知り合ったが、彼女は札幌市の住民。登別に住む俺は会いに行くだけでもひと苦労だ。これから冬になるので先が思いやられる。
実は登別で相手を探していたが見つからなかった。田舎は出会い系の女性会員数が少ないので、男たちの熾烈な競争に巻きこまれる。好みの女性は誰かの好みでもあるはずで、手を出しても締切られているケースが多い。理不尽だが神様が味方しない限り出会いのチャンスはめぐってこないというのが現実。
俺はいったん都会で相手を見つけ、とりあえずの性的欲求を満たしつつ、同時並行で田舎女性との出会いのチャンスを伺うことにした。美里とは割とすんなり出会えたし、週に最低一回は札幌でセックスしている。美里との関係はセフレでそれ以上の関係は望まない。美里にもそう釘を刺している。
だが美里の思いは違う。
「なんで? うちと恋人同士になってもええやろ? 身体だけじゃなくて、心の関係にもなりたいわ」
大阪から出てきたばかりの美里がそんな気持ちを抱くのはわかるが、俺はやっぱり地元で恋人を作りたい。お互いの家を簡単に行き来し合う仲になりたい。
「そういうのって面倒じゃないか? 心の関係になったら幸せなこともあると思うけど、喧嘩もするよね。この半年、俺と美里は喧嘩したことないだろう? なんでかわかる? セフレだからさ」
「そんな言い方寂しいわ」
そう言いながらブラをはずす美里。柔らかな乳かこぼれ、ぷるんと揺れる。見つめると乳首が勃ってくる。
「うう、欲しい」
むしゃぶりつく。ピチャピチャといやらしい音を立てながら快楽に沈む。
もしも登別で彼女ができたら美里とはどうなるのだろうと考えることがある。すぐに別れるだろうか。それともかけ持ちで付き合うことになるのだろうか。登別の彼女を抱きつつ、札幌の美里を抱く。複数の女とエッチするのは男の究極の欲望だが、そう長くは続かないのではないか。
ある夜美里と酒を飲んだ時、本音を口にしたことがある。
「札幌は遠いからな。雪が降ったら動けなくなるし、しんどい」
すると美里が関西風の溌剌とした顔でこう言った。
「冬の間は、うちが登別に行ってもええよ。二人で温泉に入りたいわ」
「北海道の冬を甘く見るんじゃない」
「知ってる? うちの愛は雪を溶かすのよ」
そう言ってカチンとグラスを合わせる。
美里がどこまで本気かわからない。
今は秋。目下出会い系で新しい彼女を探し中だが、美里が本当に登別まで来てくれるようになったら、もしかしたら退会するかもしれないな。
雪を溶かす愛を持っている女が登別にいるとは思えないからね。